考察・解説

「オール・オブ・アス・アー・デッド」ゾンビ設定で描く「格差社会」——Netflixが選んだ韓国的恐怖

ゾンビより怖いのは「人間の差別」だった

「オール・オブ・アス・アー・デッド」(지금 우리 학교는)は、高校を舞台にしたゾンビパンデミックドラマだ。Netflixが制作・配信し、世界190カ国でトレンド入りした作品だが、その本質はゾンビホラーではない。これは「韓国の格差社会と差別」を描いた社会派ドラマだ。

オールオブアスアーデッド考察の核心は、「なぜゾンビ設定がこのテーマに必要だったのか」という問いにある。

「ハムビ」という新しい怪物——感染者でも非感染者でもない存在

この作品の独自の設定として「ハムビ」がある。完全にゾンビにはなっておらず、しかし人間でもない中間の存在だ。ハムビは理性を持ちながら感染の衝動とも戦っている。

このハムビという設定は、「どちらにも属せない者」というテーマの象徴だ。韓国社会における「グレーゾーン」——貧困でも富裕でもない、勝者でも敗者でもない——そういう中間層、あるいは社会的マイノリティを象徴する存在として機能している。

いじめ・権力・差別——学校という「縮図」

物語の舞台である高校は、韓国社会の縮図として機能する。いじめを行う生徒と被害者の関係は、パンデミック下でも変わらない。「誰が先に逃げるか」「誰が生き残るか」という選択に、社会的地位や権力が影響する。

特に印象的なのは、いじめ加害者の生徒が生き残るために仲間と協力せざるを得なくなる場面だ。危機の中で「差別する余裕」がなくなる瞬間——これは皮肉であり、同時に「人間の本質的な連帯」への希望でもある。

Netflixが「韓国のゾンビ」を選んだ理由

「新感染」(釜山行き)以降、韓国ゾンビコンテンツは世界的に注目されている。しかしNetflixがオールオブアスアーデッドに投資したのは、単なる「ゾンビ人気への便乗」ではない。

韓国のゾンビ作品が持つ「社会批評の鋭さ」がNetflixの目にとまった。「パラサイト」が示したように、韓国エンターテイメントは格差社会への批評を娯楽作品に織り込むことが世界一うまい。そのスキルをゾンビホラーに適用したのが、本作品の成功の鍵だ。

韓国的恐怖の正体

オールオブアスアーデッドが描く「韓国的恐怖」とは、ゾンビそのものではなく「非常時に顕になる人間の差別意識」だ。社会的弱者が真っ先に見捨てられ、権力を持つ者が生き残る——この恐怖は、ゾンビがいない現実世界でも起きていることだ。

その怖さを「ゾンビドラマ」という娯楽形式で届けることで、より多くの人に伝わる——これがNetflixと韓国コンテンツの組み合わせが生み出した「新しい社会派エンターテイメント」の姿だ。

ゾンビ苦手な人でも大丈夫だってばよ!人間ドラマとして本当によくできてる。ただし一気見は深夜を避けろ(怖いから)!

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